映画「The Big House」

渋谷にイメージフォーラムというシアターがある。駅からは少し離れていて、宮益坂を登ってちょっといったところ。このシアターは、全国公開されているような作品は上映せず、ちょっとマイナーな映画を上映する。そこで観てきた映画の話。

 

ビッグハウスとは、アメリカ、ミシガン大学フットボールスタジアムの通称。このスタジアムは全米トップ規模で、10万人以上の観客を動員できる巨大なスタジアムだ。私はかつて、ミシガン大学と同じアスレチックカンファレンス(Big 10)に属するイリノイ大学でGraduate Assistant Athletic Trainerとして働いていたのだが、残念ながらミシガン大学へ行く機会はなかった。イリノイ大学のスタジアムはBig 10内では小さい方で、7万人に届かない。それでもすごいのだが、やはり10万超えは圧倒的だ。

 

映画は、フットボールの試合をいろんな角度から切り取ったドキュメンタリー。運営スタッフの打ち合わせ、スタジアムスタッフ向けの食事の準備、アナウンス席でのやりとり、医療スタッフの動向、当日チケットを売りさばく人々、スナックを売りに駆り出された子供、チアリーダーの練習風景など、実際のフットボールシーンはほぼ皆無に、フットボールの試合を支える様々な人々の様子が描かれている。

 

ミシガン大学へは行ったことがないと言っても、ミシガン大学イリノイ大学へ試合に来た時に観ていたからか、ミシガン大学の応援歌もなんだかとても懐かしく感じた。さらには、映画で二試合取り上げられていたうちの一つは相手もイリノイ大学だったからなおさら。アメリカに住んでいた時代のあれこれをいろいろ思い出し、関わった多くの人々の姿が脳裏を駆け抜け、甘酸っぱい気分になった。一緒に働いたあの子は元気だろうか?あの時の彼の年齢に私は追いついたのだろうか?いろいろあったがとても楽かっった。楽しい思い出が勝っているのはいいことだ。

 

大学というのはとても帰属意識が高い。ミシガン大学のあるAnn Arborの人口は10万人くらいなのに、毎回観戦に10万人以上の人が訪れるとは圧巻だ。母校を応援しようと楽しみに遠方から来る人がいっぱいいる。大学を中心に街がある。ミシガン大学が母校の人には誇らしい映画だろう。フットボールを知らなくても、アメリカの大学スポーツの大きさを、凄さを実感できる映画だ。これだけの人が関われば、様々なドラマがある。